肝の病気の治療法
i 慢性肝炎
 慢性肝炎は肝臓自身の病気でさまざまな原因があります。多く見られる原因は肝炎ウィルス、脂肪肝、アルコール、ストレスなどです。急性肝障害は一過性で劇症化を回避できれば予後は良好でほとんどの場合後遺症を残しませんが、ウィルス性肝炎は肝硬変になりやすく、本人の自覚症状がないうちに徐々に進行していくケースがみられます。特にC型肝炎肝硬変から肝臓ガンになりやすく、インターフェロンが奏効する一部の人を除いては良い治療法が見つかっていません。日本では一時期慢性肝炎に小柴胡湯という漢方薬が良く使われましたが、体質や証を無視して使ったため副作用が出てしまいました。
 中国医学では慢性肝炎の治療はさまざまな経験があり、病気の時期や体質によっていろいろな薬草を組み合わせて治療すれば、副作用もなく非常に良い効果が得られます。
製剤としては中国では片仔廣が有名で、日本人の体質に合わせた廣禅顆粒はどのような肝炎にも一定の効果が期待できます。
  脇の張りや吐き気、食欲不振があるときは小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡桂枝干姜湯、などが効果的です。ストレスが強くイライラするときは加味逍遥散、星火逍遥丸が効果的です。倦怠感が強いときは、体力をつける補中益気湯、十全大補湯などが効果的です。慢性化して肝の陰血が不足した場合は杞菊地黄丸婦宝当帰膠が効果的です。慢性肝炎は病態の性質上、必ず瘀血があるといわれているので冠元顆粒血府逐淤丸を併用すると肝硬変になることを防ぐことができます。
*漢方コラム「片仔廣工場見学記」も参照してください。

ii 高血圧
 高血圧のほとんどは原因不明の本態性高血圧症といわれるものですが、甲状腺機能亢進症や腎血管狭窄などの病気のために高血圧になっている二次性高血圧もあります。なぜ血圧を下げないといけないかというと、血圧が高い状態が続くと正常血圧の人にくらべ脳梗塞、心肥大、心筋梗塞、狭心症、腎不全などの血管の動脈硬化による合併症が発生する確率が高いからです。
 西洋薬は血圧を下げる力は強いのですが、血液をきれいにして動脈硬化を予防する方面は十分ではないようです。
 中国医学では血圧を下げるだけでなく、体質を改善し、血液をさらさらにして合併症の予防を行うことも重視しています。
頭痛やのぼせがある場合は、肝陽の亢進を抑える釣藤散、降圧丸杞菊地黄丸などが効果的です。ストレスが強くイライラする場合は、肝の疎泄をよくする大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯や、肝火を冷ます竜胆瀉肝湯、黄連解毒湯などが効果的です。血圧が高い方は血液がドロドロで、動脈硬化になりやすいので、瘀血を改善する冠元顆粒松寿仙を併用すると効果的です。

iii 自律神経失調症
 自律神経失調症は不定愁訴とも呼ばれ、具合が悪いのに病院で検査してもらっても異常が見つからない病気です。症状としては頭が重い、めまい感、胸の圧迫感、息苦しい、動悸、不安感、いらいら、集中力の低下など人によって様々で、ひとつだけでなくいくつか重なって症状があらわれる事も多くみられます。他人にも症状をうまく説明しにくく、そのため「気のせいでしょう」と言われてしまう事もあるようです。
 中国医学ではストレスや環境の変化などによって肝の疎泄の働きが乱れて気が滞り、いわゆる気持ちがよくない状態になり、自律神経失調症になっていくと考えています。病は気からという理由もここにあります。
治療としては肝の疎泄をよくして胃腸を整え、神経を落ち着かせる薬草を組み合わせます。
ストレスを和らげ、肝の疎泄をよくして神経を落ち着かせる星火逍遥丸抑肝散、柴胡桂枝干姜湯、柴胡加竜骨牡蛎湯などを症状にあわせて使うと効果的です。肩こりや頭痛があるときは冠元顆粒血府逐瘀丸などが効果的です。寝つきが悪いときは酸棗仁湯、天王補心丹、温胆湯などが効果的です。
この段階ですと比較的治りやすいですが、症状が進行して神経性胃潰瘍、過敏性腸症候群、メニエール、狭心症、精神病などに発展していくと治りにくくなり、漢方薬も症状に合わせていろいろ工夫していく必要が出てきます。



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