アトピー性皮膚炎の症例  |
Mさんは22歳の女性です。子供のころからアトピーといわれ皮膚科からマイルドのステロイド軟膏を処方されて首、顔、ひじ、ひざを中心に断続的に使ってきました。1週間くらい前に雑誌でステロイド軟膏の特集を読んで、副作用が怖くなって中止してしまったため首と顔を中心にリバウンドが起きてしまいました。良い手段がわからず、漢方治療を希望して来店されました。 皮膚を見ると両ほほ、首、ひじ、ひざといったステロイド軟膏を塗っていたところが真っ赤になっています。両ほほは赤く耳が切れて滲出液が見られます。首は赤い上に長年掻いてきたため皮膚が厚くなり苔鮮化というアトピー特有の肌の状態が見られます。ひじ、ひざも苔鮮化が見られ掻破痕が多数見られます。それ以外の皮膚はステロイド軟膏をあまり塗っていないため、ややドライスキンが見られる以外はほぼ正常な皮膚です。全身症状としては胃腸が弱く下痢しやすい傾向にあります。婦人科は正常です。舌は赤くやや大きく歯根が見られます。舌苔は薄い黄色です。
中国漢方はアトピーを中心とした皮膚病の治療は得意としています。皮膚の色や状態と全身症状の両面から判断して処方を決めます。Mさんはステロイド軟膏のリバウンドで皮膚が真っ赤になっていますので、まずは皮膚の炎症を改善することを重視しなくてはいけません。皮膚の炎症が改善してきたら徐々に本来の乾燥肌を改善する漢方薬に切り替えていきます。
経過ですが、まずは皮膚の炎症を改善するため瀉火利湿顆粒、黄連解毒湯、胃腸を保護する少量の啓脾湯の3種類を併用しました。同時に漢方薬の軟膏とローションでスキンケアしてもらいました。 約2週間の服用でだいぶ炎症がおさまりましたが、さらに2週間服用を続けました。その後皮膚の状態を見ながら、温清飲、三物黄 湯、板藍茶、などを使い約3ヶ月の服用で皮膚の症状がすっかり良くなりました。その後はアトピー性皮膚炎の養生10ヵ条を守りながら当帰飲子と啓脾湯を中心に乾燥肌と苔鮮化の改善を行っています。
| 考察: |
成人のアトピー性皮膚炎は長期化していることが多く、皮膚の状態と全身症状を考えて、急性期、亜急性期、慢性期に分けて治療していきます。Mさんも最初は瀉火利湿顆粒と黄連解毒湯を中心にして、その後温清飲や三物黄苓湯を加減し、最後に当帰飲子と啓脾湯で再発の防止を行っています。症状によって漢方薬も使い分け、また外用薬や緑の製剤による体質改善を併用することもあります。 |
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